元警察官が語る!泥棒の目線

一般社団法人 全国防犯啓蒙推進機構 理事長 折元 洋巳

泥棒の目線

大阪府警20年の経験、特に留置場の看守時代の経験から、犯罪者自身から聞いた「泥棒の心理」「泥棒の手口」を元に、「泥棒の目」から見た「住宅防犯対策」について語ります。

防犯の常識は数々ありますが、私は「日本人の防犯常識は非常識」だと思っています。

それは、犯罪者から聞いたのではなく、警察統計から想像したことを主に、犯罪者の気持ちを無視して結果の真実の一部である数字と、目に見える手口だけから考えられたことなので、一部であっても現実から乖離(かいり)していることがあると言う点です。 これはいたし方ないことです。誰も泥棒の友達が沢山いる!と言う人は少ないはずで、彼ら特有の心理状態は分かるはずが無いのです。

ワインを選ぶときにソムリエに選んでもらうのは、ソムリエのワインの知識と飲のだ経験に信頼を置くわけですが、防犯の世界では実は犯罪の知識と経験よりも、警察統計の数字と想像と防犯機器の知識で語る訳ですから実は少しずれが生じてくることは仕方ないのです。

ですから、私はこれまで百数十回全国各地で、業者様や一般の方に「防犯セミナー」を開催して、現実を知ってもらう活動を続けてきました。

まず、犯罪者目線で物を考えてそれに対抗することが、最も「安価」に、そして「確実」に防犯(犯罪を予防する)ことに繋がると信じております。

日本から防犯業が無くなってもいい。それよりも私が信じる「本当の防犯」を一人でも多くの方に知って頂きたいというのが心からの願いです。

尚、同じ泥棒でもここで触れているのは「忍び込み」ではなく、一般的に多く見られ初心者の泥棒でもできる「空き巣」について書かせていただいていることを、予めご理解下さい。(犯罪種別によって犯罪者像は変わります)

※ ここには、私の知っていることを余すことなく出しております。もし企業様等で必要であればご活用いただく事に何ら問題はございませんが、ご利用頂く前に「どこに、どういう目的で、どれを使う」かをお知らせの上、転載許可をお取りください。(場合によっては転載をお断りすることがあります。)

その1 泥棒にとって、一番大切なことは何?

例えば泥棒が一つのお宅に侵入しようとしているとします。

その時、泥棒の頭の中で一番大切だと思っていることは何でしょうか?

 ・沢山お金があればいいな~。

 ・高い貴金属があればいいな~。

 ・今日も無事捕まらなかったらいいな~。

答えは「今日も無事捕まらなかったらいいな~。」です。 

それは何故でしょうか。もちろん、沢山お金が取れれば申し分ありませんし、貴金属を処分できる能力のある泥棒なら、それもまた嬉しいに違いありません。しかしながら、結局捕まってしまえば、元も子もないのです。 泥棒は「累犯」(るいはん。何度捕まってもまた同じことを繰り返す)が多い犯罪種別ですから、捕まったらどんな嫌なことがまっているか知っています。

また、まだ捕まった経験の無い泥棒でも、シャバ(一般世間のこと)での生活から、囚われの身になった場合の不自由さは簡単に想像できます。

だから、泥棒にとっては絶対捕まるないことが一番重要なのです。(っと言う話をしている私が居るということは、結局は捕まっているのですが・・・。)

これは当たり前の様に思うことですが、これが実は「防犯」を考えるときに結構重要なポイントになるんです。私は「防犯できているかどうか」は比較競争です。とよく言います。 

泥棒にとって家の中にお金があるかどうかは、超能力者でもない限り分かるわけがありません。 せいぜい経験則上「ありそうか、なさそうか」と言う想像の世界に、自分の将来をかけるほど馬鹿じゃありません。

泥棒は、「入りやすくて逃げやすい家」に好んで入るのです。

その理由は「入りやすい=侵入時間がかからない・第三者の目につきにくい」また、「逃げやすい=自分が安全に逃げ切ることができる」=捕まらない。と言う方程式が成り立ちます。こういう思考に立って防犯を考えてみると、泥棒が下見をしているのは、「入りやすそうか?」「逃げやすそうか?」にプラスして、今「留守か?」を見ていることが分かりますから、隣近所の家と比較して「入りやすそう」で「逃げやすそう」であれば、先ずは貴方の家に入ってみますよ、といえます。

その2 泥棒って空振りが多い?

我々は取り調べ時や、留置場生活の中での会話で泥棒達の実態を本人から聞きますが、泥棒家業に「空振り」はつき物なのです。テレビや防犯のプロ達のお話を聞いていると、まるでプロは外から見て「お金がありそうかどうか」「どこに隠されているか」が分かる様な話になっています。

当然、何事もプロになるとある一定の「カン」が働いて・・・ということもありますが、超能力者でもない限り他人の家に「金があるかどうか」「どこに隠されているか」なんて分かるわけもありません。

現実の泥棒の話で、プロ中のプロと言われる泥棒が入った家の事件が報道されて、盗まれた以外に多額の現金があったが無事だったと言うニュースを聞いて、やけ酒を飲んだという話をしていました。

「空振り」が結構あるのは当然なのです。

また、世間で防犯のプロが「下見を何週間もしていた・・・」などの話をしますが、まずはありえないです。何故かと言うと、考えてみてください。家の外から張り込みして下見をしたところで、分かるのは家族構成と生活パターン位のものです。「下見を何週間もした」と言うとドラマチックで、また「怖い」と思うから言うだけで、家族構成・生活パターンが分かったところで、肝心な「お金があるかないか」「どこにあるか」なんて入ってみないと分からないということは、子供でも分かることです。

もし、肝心なことが分からないのに何週間も下見をして、いざ入って「空振り」だったら、泥棒は飢え死にしてしまいます。だから、そんなことをすることは意味がないのです。

下見はします。それはせめて数日後に「どの町にいくか」や、今から「どの家に入るか」の下見が圧倒的に多いと言う「事実」が重要です。 

ここで「空振り」が多いと言う「事実」から浮かび上がってくることは、「空振りかもしれないのに、大きなリスクは背負えない」と言うこと。ローリターンの商売には、ローリスクしか背負えないと言うことですね。

ですから、なおさら「肝心な場所」に「肝心な設備を設置」して、下見に来た泥棒さんに、「ここは狙いにくい家だな~」と思わせたら、かなりの確率で「安心」だということになります。

ここは是非とも押えておいてくださいね。

その3 泥棒はどこから入る?

一般住宅に入る泥棒のお話です。例えば質屋・宝石店などを狙う例えば有名になった「爆窃団」の場合は、ハイリターンの為にハイリスクを背負い、壁を破るなどしますが、一般住宅の場合は入る場所は決まっています。

それは、大きく分ければ「扉」と「窓」の2ヶ所に限定できます。

当然、住宅の防犯は「扉」と「窓」を守れば言いと言う事になります。(侵入窃盗に限定したお話です)

扉から入る泥棒で約5分。窓ガラスから入る泥棒では1分未満で侵入することができますので、ここの対策は当然必要になってきます。世間一般では扉の防犯はやかましく言われますし、いろんな方がいろんな商品でご提案されるので、比較すると窓の対策より扉の対策の方は進んでいますが、窓の方はほぼ手付かずの状態であることを先ずは知っておいてください。

しかしながら、警察庁の統計を見てみると、一般住宅では約70%前後、集合住宅でも約3~40%の侵入が「窓ガラス」から行われており、且つどちらの場合も「侵入場所」としては数字は違っても、「No.1」であることには変わりがありません。「No.1」の侵入場所が放置されていると言う日本の現状に問題があります。

おれおれ詐欺は、もう古い言い方ですよね? どんどん名前が変わっていっています。なぜでしょうか? テレビ・マスコミがどんどん報道して、日本国民に注意喚起するので、同じ手口では通用しなくなるので、犯罪者側も頭をひねって、どんどん新しい切り口で電話をします。(根本的な部分は変わらないのですが)

一方、住宅侵入窃盗犯の手口は数十年前からほとんど変わっていません。これは何故か? ずっと同じ手口で問題なく侵入できるからです。

おさらいですが、泥棒の住宅侵入口は「扉」と「窓」の2ヶ所です。ここだけをどう守るか?考えただけで、格段の「安全・安心」を得ることができるのです。

その4 泥棒は捕まってバージョンアップして出てくる?

ある日の留置場内での泥棒同士の会話です。

一人はまだ若い新米の泥棒。一人は年配のプロの泥棒です。若い泥棒がテレビの刑事ドラマを見てて、高価な時計などを質屋に持っていって足がついて捕まったというストーリーを何度も見ていたので、ある家に入ったときに近のロレックスがあったが盗まなかったという話をしていたときです。

プロの泥棒「アホやな。今度からはな、阪急○○駅を降りて○の方向に行くと道が二手に分かれるねん。その中州にある喫茶店の親父に俺の名前を言え。そしたら買ってくれるから。そこはぶつをさばいてくれるとこや」

新米の泥棒「そんなですか。ありがとうございます。今度からそうします」

私→新米の泥棒「お前、もうしませんって言うてたんちゃんうか!」

と言う具合です。檻の中では反省する者もいなくはないですが、日常こういう会話が繰り返され、徐々に知識を得て出てきたときには、捕まる前よりバージョンアップしているというこがあるのです。

その新米の泥棒は、裁判の結果「執行猶予」で早々に世間に出て行きました。彼が改心して泥棒から足を洗ってくれていることを心から望みます。

その5 泥棒はカメラが嫌い?

最近は各所の防犯カメラが設置されています。名称も防犯カメラですから、全ての犯罪に防犯機器として役にたっているのでしょうか? 私はそうではないと思います。

まず、防犯という言葉は犯罪を予防すると書きますね。つまり「事前対策がとられており、犯罪を抑止できる」と言う意味ですよね? カメラがあって犯罪者が映像が残るから嫌だな~と思って犯行を諦めれば抑止効果があったということで防犯といえますが、現実は、特に泥棒は映像が残っていますが犯行を諦めることなく撮影されています。それも隠しカメラではなく目立つカメラの映像にです。

つまり、泥棒にとってはカメラがあれば、顔がばれるのが嫌なら帽子を深く被ったり、顔をそらしたりすればよく特におびえてる様子は伺えません。つまり、泥棒にとっては「防犯」と言えるほど抑止効果は期待できないということをご理解下さい。ただし、警察としては捜査資料になるので、映像があることは非常にメリットがあります。つまり事後捜査に有効な証拠と言うことです。

最近の報道で、防犯カメラの映像が犯人逮捕に結びついたという報道も少なくありません。しかしそれは泥棒などの毎日、あちこちで行われる犯罪ではなく、殺人・子供への犯罪など社会的影響の大きい事件の犯人映像をテレビで報道して、国民から情報を得て逮捕につながっているのであって、一つの都道府県で毎日20件も泥棒に入られている状況で、泥棒の映像が撮影されていても、決してテレビで放送などはしてくれません。

カメラが防犯にならないと言うのではありません。泥棒の対策と考えるとすこし効果が薄いといえるだけです。

エレベーター内に設置して、その映像を1階エントランスに映し出しておくだけで、エレベーター内で女性や子供にいたづらしようと思う犯人には、最大のプレッシャーをかけることができるので、かなり有効な防犯対策になります。要は機器の特性と犯罪者の心理をしったうえで、いかに使うかが需要であるということです。

また、犯罪対策ではありませんが、集合住宅のゴミ箱などを撮影しておけば、ゴミの日を守る対策や不法投棄などの対策には役立ちます。

カメラを嫌がるのは、プロの犯罪者よりどちらかと言うと一般人に近い犯罪者たちであるということを知っておけば、イメージしやすいのではないでしょうか?

だから私は防犯カメラとはあまり呼ばず、監視カメラと呼んでいます。

その6 オートロックマンションは安心?

新築マンションのほとんどがオートロックマンションになっているこのごろです。「安心」な集合住宅の代名詞のようになってきていると思いますが、これは本当に「泥棒」を対象に考えたとき「安心」と言えるのでしょうか?

答えはNOです。特に内部から人が出るときに自動的に開くタイプのオートロックが危険です。

TVでは、「友連れ」と言う方法を公開しております。住民が入るときに偶然一緒になったように入る方法です。これは基本的に泥棒としてはしたくない方法だと思います。完全に顔を見られるし、住民からも怪しまれますからね。

実は身の回りのものを、ほんの数秒の手間をかけるだけでオートロック扉は外部から簡単にあけることができます。これは集合住宅の管理会社の社員も、訪問販売の営業マンも常識として知っていることですが、住宅建築関係者やオーナー。居住者は知りません。ここが問題なのです。

ここでは詳しい方法などは記載しません。それを知れば日本のほとんどのマンションに簡単に入れるからです。

オートロックは導入に多額なお金が必要なのに、ある一点に防犯上問題があって、結局は泥棒がありがたがる建物にしてしまっています。僕が泥棒でもオートロックの無いところより、オートロックのマンションの方が泥棒はしやすい結果になっています。

この事実は是非とも知るべきであり、是非とも対策をとるべきなのですが、ここで理由を公開できないのが非常に難しいところです。

その7 ディンプルキーって安心?

ディンプルキーは安心だと言えます。

実はディンプルキーも「ピンシリンダー」と言う構造なので、ピッキングができると言うグループではありますが、なかなか難しいというのも事実ですし、その他の手口対策がとられており防犯上優秀な機器であるといえます。また、ディンプルキーが防犯性の高い鍵の代名詞になっておりますが、ディンプルではないタイプでもCP認定の錠前は非常に防犯性が高い鍵で、その種類も多くあります。

日本の鍵メーカーさんは本当に凄いと思うのが、一つの手口が世間を騒がしたと思うと、すぐに対策をとった鍵を開発して世に出してきます。昔の鍵はキーをさしてもいくらか動くほど遊びがありましたが、今の鍵は差し込んだら動かないほど遊びがありません。

それは、パーツ数が多い精密機械になってきているということと理解して欲しいので、「鍵は何十年経っても普通に動いて当たり前」と言う常識は非常識であると知ってください。精密な構造なものほど、ちゃんとメンテナンスしないと支障がでてきて当たり前なのです。

間違っても世間で使っている「油」などはささないで下さい。粘度が高すぎて汚れがこびりつき、完全な故障を招くことになります。よって、町の鍵屋さんに行って専用の油を購入して使ってくださいね。

警察庁の統計を見て分かるのは、圧倒的に多い手口は鍵穴を狙っていないと言うことです。これは日本の鍵メーカーが優秀なので、そこと対決するにはリスクが多いからです。

そこで、扉を変形させたり、扉に穴を開けたり、ドアスコープをつぶしたり、ポスト穴を壊したりしてサムターンを回す手口が圧倒的に主流になります。それを確認している警察が何十年も前から言っているのが「ワンドアツーロック・スリーロック」と言う広報です。

これが本当に間違いのない防犯対策です。ですから、できれば一日も早く「ワンドアツーロック」にされることを心よりお勧めいたします。

ツーロックにする方法は、もう一つシリンダーキーを取り付ける・二個も鍵を持つのが嫌なら、二個目は暗証番号などで開錠する電子錠をつけるなどの対策がありますので、皆さんの生活状況や家族構成、予算などからご検討頂ければよいかと思います。

その8 ちょっとの外出時、雨戸やシャッターは閉める?開けとく?

世間では、ちょっと出かける時は、泥棒に留守と知らせるようなものなので、雨戸やシャッターは開けて置いた方がいいと言う話があります。

みなさんどう思いますか?

泥棒(空き巣)は、空き家に入るのが仕事の泥棒なので、入ろうとする家が留守なのかどうかは非常に重要なポイントになります。よって、いろんな方法で留守を確認します。

単に雨戸やシャッターが閉まっているから留守で、空いていたら在宅なんて軽い発想で判断しません。だからこそ、留守だと判断された場合に、雨戸やシャッターが閉まっているところと閉まっていないところでは、泥棒の手間が違いますよね? 雨戸やシャッターを開けてから、更にガラスを破らないといけません。

それならば、当然泥棒に手間をかけさせるほうがいいに決まっていますから、ちょっとの外出時でも雨戸やシャッターは閉めるべきであると言う結論にいたります。

この話の中で、雨戸やシャッターが防犯性がどれだけあるのか?と言うことは検討に入れておりません。あくまで今ある雨戸やシャッターを閉めたほうがいいのか? それともあけておいた方がいいのか? のお話です。

その9 井戸端会議や近所の付き合いは面倒

私が子供のころは、町のあちこちで主婦の井戸端会議が盛んでした。

今は共働きが多く、また結婚しない方も増えているとのこともありますが、やはり隣近所のコミュニケーションが乏しくなって、井戸端会議が少なくなりました。

泥棒や訪問販売の下見調査員や営業マンは、自分自身はこの町の者ではない、つまり「異物」であることを知っています。ましてや、泥棒なら住民の人に顔を見られたり覚えられたりは決してしたくないものです。

井戸端会議の話題の多くは、隣近所の噂話や各家庭内のお話となります。つまり、町の情報が集まっているのです。どこの家庭の御主人が誰でどこで働いていて、子供はどこの学校に行ってるかなどは当たり前で、中には知られたくないことまで知っているケースもあるでしょう。

そこから、井戸端会議や近所の付き合いは面倒であると思われるかたも居られるかもしれませんが、「防犯」を考えたときには、井戸端会議のある町。コミュニケーション能力の高い町は、非常に防犯性の高い町であるといえるのです。

井戸端会議中、見慣れない男(女)が家をじろじろ見ていたとします。当然、話題がその話題になり、数人が「あの人怪しいわ~」などとじろじろ見ることでしょう。下見途中だった泥棒は、住民にじろじろ見られたことで、とりあえず、その1ブロックでは泥棒をしな確率が大きく高まります。

それだけ井戸端会議やコミュニケーション能力は、町の防犯の向上に役立つのです。

是非とも、面倒がらずに近所の方とコミュニケーションを取ってください。そして井戸端会議があれば積極的に参加して、「井戸端会議は防犯にも役立つらしいよ」とお伝え下さい。

その10 戸建ての塀は高い方がいい?

戸建て住宅の塀(へい)は、高い方がなんとなく「防犯性」が優れている様に感じますよね。

しかし、よくよく考えてみると塀をよじ登らなくても、住民が通る門があるはず。そこがお城のように堅牢に作られていて、門番が居るわけでもない。っとなると、敷地内には簡単に入れるのに、入ってしまえば高い塀のおかげで建物の周囲の状況は、第三者に見えない構造であることが分かります。つまり、入りやすくて見えにくい場所になってしまっているということです。

泥棒が嫌がるのが、「音」「光」「時間」と一般的に言いますが、その主は「第三者の目」です。泥棒が狙う家は「留守」であることを概ね確認済みなので、泥棒が一番怖いのは「第三者の目」に見つかって警察に通報され、家を出たときに「御用だ」と捕まることです。つまり、「音」も「光」も「時間稼ぎ」もその主に対する方法論です。っと考えた場合、高い塀は「第三者の目」を遮るので、泥棒にとっては格好の餌食に見えると言うわけです。もちろん、高い塀だけでなく、敷地内に入れない構造であれば、防犯性はある意味高いのですが、そこを通過された瞬間に、泥棒にとっては「落ち着いて仕事のできる空間」になりますので、集合住宅の「オートロック」と同じことになります。

よく伸びた植樹によって、家が直接見えないのも同じです。できれば、家の周りの植樹の高さは人間の腰の高さ位までにして、建物がはっきりと見えるようにした方が安全です。その高い塀や、高い植樹の裏にある「扉」や「窓」は泥棒にとっては、自分を招いてくれる出入り口にしか見えません。

もしプライベートを守るためなら、カーテンなどでプライバシーを守りましょう。芸能人の方は日ごろの生活で難しい面もあるでしょうが、一般の方は是非そういう発想で家作りをしてみてください。高い塀を作らないということは、外回りにお金をかけないと言うことなので、そこで浮いたお金で防犯対策しても、十分に家族旅行の費用は残りますので、安心な家を作って、安心して家族の思い出を作るほうが、よりいいお金の使い方だと僕は個人的に思います。

その11 カメラ付インターフォンがあるので、うちは安心?

このお話は「泥棒」に関するお話です。予め確認しておきます。

リフォーム会社や工務店さんでも、たまにですが「泥棒の対策にカメラ付インターホン」は有効ですよ。と言ってお勧めされているということを、何度か聞いたことがあります。はたしてそうなのでしょうか?

泥棒は下見をします。ただ、よく防犯のプロといわれている方々が、講演や本の中で書かれているように、数週間に亘って、家族の同行がメモされていた・・・みないな下見は決してありません。よく考えてみれば分かるのですが、家族の行動パターンを見たところで、泥棒にとって肝心の「お金があるのかないのか?」「あるとしたら何処にあるのか?」について、1年間下見(張り込み)しても分かるわけがありません。最初の方にも書きましたが、泥棒は空振りが多いのに、数週間下見に費やしていざ入ったら空振りで終わったとします。すると、この泥棒はご飯が食べれなくなってしまいますよね? だから現実ではないと言うことです。

一般的な泥棒の下見は、今からどの家に入るか?の下見です。泥棒(空き巣)にとって肝心なことである、今留守であること。と、自分が入ってから逃げ切るまでに第三者の目に触れる確率が低いか否か?を確認する下見です。

雨戸やシャッターのところでも書きましたが、泥棒は自分自身が逮捕されたくないと言う思いから、自分に重要な「留守の確認」は入念に行います。外部から観察(多くの点を見ます)して留守と思われるかどうか?中には窓ガラスに石を投げつけて、中の人の反応があるのか無いのか?そして、最終的にインターホンを鳴らして、反応があるか?誰か出てくるか?を見ます。

つまり、インターホン自体が泥棒の下見アイテムであり、それがあるから「ここはやめておこう」と言うアイテムでは決してないと言うことをご理解下さい。(よく考えるとごくごく自然にご理解いただけると思います)

そこにカメラがあっても同じこと。つまりそもそも製作の段階から、空き巣対策に作られたものではないことを消費者は知るべきです。

インターホンは「強盗対策アイテム」です。もちろん、「押し売り」や「訪問販売」。無用な勧誘などを玄関先で会う事もなく撃退することもできます。扉の外に誰が何の目的で訪問しているのか確認して、面接の必要があるのか無いのか判断した人だけに面接する選択の余地を与えてくれるのです。

ただし、カメラ付インターホンを狙って、作業服を着てダンボールを持った強盗が、あえてカメラでその服装と荷物を見せ付けて、宅配便を装って扉を開けさせるというケースもありますので、くれぐれも、カメラの無いインターホンと同じ様に「誰から何が届いたのか?それは本当に自分宛の荷物なのか?」をインターホン越しにでも確認する癖付けをしてください。

本来最も大切な町のコミュニケーションを妨げる、これら手口もありますが、近くに引っ越してきたといって扉を開けさせる強盗も居る時代ですので、残念ながらこの点は注意せざるを得ないですね。

その12 家はマンションの2階(それ以上)だから安心?

集合住宅の2階以上に住んでいる日本人で、窓(ベランダ)からの侵入にまで気を使う人はゼロと言っても過言ではないのが現状でしょう。

私が今から書かせて頂く事は、過去に現実に居た元体操選手の泥棒で、素手で10階以上までベランダをよじ登っていく「忍び込み」や、建物の屋上からロープなどで降りてきて侵入する泥棒のことではありません。もっと、自然に、そして簡単に窓(ベランダ)から入る泥棒のお話です。

例えば、集合住宅の玄関から入る泥棒が居ました。彼(彼女)にとって玄関から入る以上は、1階も10階も同じことです。よく考えれば、1階は第三者の目に見えそうなので、どちらかというと2階以上の部屋の方が入りやすいと思います。

そして、無事侵入して仕事を終えました。この泥棒にとって、仕事の済んだ部屋の玄関から出て、隣の部屋に行くのは、また第三者の目がある可能性を考えると、決して得策ではありません。ならば、どうするのが一番メリットがあるでしょうか?

仕事を終えた部屋のベランダに出ると、隣の部屋の裏から様子が見えます。留守かどうかは分かりやすいでしょう。そして隣との境目は、消防上の理由で簡単な遮蔽物で遮断されているだけですから、簡単に隣のベランダにいけます。そこまで行けば、鍵もかけていない部屋も多いでしょうし、ガラスからは簡単な手口で1分もかけずに侵入できますから、かなり簡単に第三者の目をかいくぐって侵入できる事になります。

現実に、ワンフロアー全室がベランダ沿いに侵入された現場も少なくはありません。

泥棒は扉やガラスや遮へい物を壊すことは問題ないのですから、一般人のしないことは泥棒もしないと考えなければ、やはり危険な場所であることはすぐにご理解いただけると思います。

この対策は、建物全ての玄関をワンドアツーロックにすることです。どこか1室玄関から入ればベランダから隣に行けますが、どこかに入ると言う条件が整わなければ、やはり2階以上なので、ベランダを上るしか方法が無くなり、狙われにくくなります。

こういった発想が防犯を考える上で非常に大切なことですので、是非ともご自分のご自宅周りを、泥棒の目で見てみる癖付けを御願いいたします。

ショッピングカート
カートに商品がありません!
買い物を続ける